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冬虫夏草が犬のがんに効くと販売し逮捕
2019年10月29日動物用冬虫夏草サプリメントが「犬のがんに効く」と販売していた会社社長が逮捕されました。
冬虫夏草とはいったい何なのか、がんに効果がないのか、有機ゲルマニウムは問題ないのかなどについて紹介致します。
冬虫夏草は昆虫の栄養を利用して増殖する子囊菌類のことを言います。
日本では蝉や蛾の他カメムシなどさまざまな虫の栄養を利用するものがみられます。
中医学の文化圏では、チベットなどが原産のオオコウモリガの幼虫に寄生する天然のOphiocordyceps sinensisのみを「冬虫夏草」と呼び、狭義の冬虫夏草はこれを指して言うのです。
しかしこのオオコウモリガ自体日本には生息しておらず、従ってオオコウモリガの幼虫に寄生する天然のOphiocordyceps sinensisの「冬虫夏草」を入手するには輸入しなくてはなりません。
これとは別に広義の「冬虫夏草」は多数存在します。
さまざまな虫に寄生して生える別の種類の子囊菌類が500種類あると言われています。
オオコウモリガの幼虫に寄生する天然の冬虫夏草にも抗癌成分が含まれていない事を中国の研究チームが確認し報告をしたことで、冬虫夏草に対する信頼が揺らぐ事態が起こっています。
2017年中国科学院上海植物生理生態研究所の研究チームが国際的な学術雑誌「Cell」に発表した内容などによると、冬虫夏草の抗がん成分及びがん化抑制成分の、ペントスタチン、コルジセピンなどの成分が漢方として認められているオオコウモリガの幼虫に寄生する天然のOphiocordyceps sinensisつまり【狭義の冬虫夏草】でさえも全く含有されていなかったことなどを伝えています。
カイコのサナギに寄生するサナギタケにのみ抗がん成分が含有されていた事を中国の研究チームが伝えています。
従って効果を期待し冬虫夏草を与えるのであれば、カイコ由来のサナギタケCordyceps militarisの製品を選ぶ必要があります。
カイコの幼虫に含まれる成分を利用して成長したサナギタケCordyceps militarisは抗がん成分を含んでいたと報告しています。
ヒトのがん診療を行うクリニックの医師は、がんに対する有効成分を含むカイコのサナギ由来サナギタケCordyceps militarisのサプリメントを推奨するとともに、穀物などを虫の代替として培養したものは、昆虫の成分が無いまま子実体が形成されるので、冬虫夏草としての成分を有するかは疑問であると伝えています。
冬虫夏草菌やサナギタケ菌のような虫草菌が感染することによって昆虫の防衛機転が働き、昆虫の中で敵を撃退する成分を生成、虫草菌がそれを栄養とすることによって、このキノコ特有の生理活性成分となっていることを解説してくれています。
効果を期待するのであれば、カイコに由来するサナギタケCordyceps militarisであることが絶対条件であると考えられます。
カイコ由来でない、サナギタケCordyceps militarisでない製品はしっかり吟味する必要がありそうです。
今回問題となった製品には、冬虫夏草の他に有機ゲルマニウムが含まれています。
有機ゲルマニウムにはいくつかの種類があり医薬品として認められているものもあるようですが、重篤な副作用が起こることも知られていますので注意が必要です。
ウィキペディアに有機ゲルマニウムの「人体への影響について」の記載があり、危険性を伝えていますので以下に転記致します。
人体への影響
1887年にWinklerが最初に有機ゲルマニウムを合成し、1962年にKaarsらが合成したものは生理研究を本格化させていった。浅井一彦らは石炭や漢方薬にゲルマニウムが少し含まれていることから注目し、1968年にレパゲルマニウム(研究時の名称Ge-132、一般にアサイゲルマニウムとも)を合成する。レパゲルマニウムは食品として安全性が確かめられている。また臨床試験も実施されてきた。
1978年に佐藤隆一らがプロパゲルマニウムを合成し、臨床試験が実施され1994年から免疫を高める経口B型肝炎治療剤のセロシオンカプルとして販売されている。有機ゲルマニウムの中でも、唯一医薬品として認められているこのプロパゲルマニウムでは、ウイルス性のB型慢性肝炎に対する有効性が認められるものの、健康障害や死亡などの危険性についての警告文が付されており、消化器系の各種症状(腹痛、下痢、口内炎等)、うつ、月経異常、脱毛等の副作用がある。
スピロゲルマニウムは新薬にするために臨床試験が行われていたが、胃癌では毒性の高さと有効率の低さから、1999年にそれ以上の研究は断念された。
ゲルマニウムを含む健康食品を摂取して死亡した例もある。無機ゲルマニウムは生死に関わるような副作用があるが、1970年代後半からのゲルマニウムブームにて、当初から無機ゲルマニウムの飲用は腎臓等に障害を発生させるとの研究結果がすでに報告されていたにもかかわらず、一部の業者が無機ゲルマニウムを有機ゲルマニウムと偽って飲用として販売したために事故が発生し、1998年10月には厚生労働省が各都道府県に対しゲルマニウム含有食品についての注意喚起を行っている。
有機ゲルマニウムでも、経口摂取による健康障害、死亡例が報告されているため、比較的危険性のあるものである。
ある有機ゲルマニウム製剤の経口投与により癌に効果があるという研究もある。別の研究者によって危険性も示されている。
国立健康・栄養研究所は、「サプリメントとしての経口摂取はおそらく危険と思われ、末梢神経や尿路系の障害を起こし、重篤な場合には死に至ることがある」として注意を呼びかけている。また、経口摂取によりこれまでに31例の腎臓への重大な疾患や死亡が報告されている。
(以上ウィキペディアより転記)
24/07/27
24/03/25
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2019年10月29日動物用冬虫夏草サプリメントが「犬のがんに効く」と販売していた会社社長が逮捕されました。
冬虫夏草とはいったい何なのか、がんに効果がないのか、有機ゲルマニウムは問題ないのかなどについて紹介致します。
冬虫夏草っていったい何なのか
冬虫夏草は昆虫の栄養を利用して増殖する子囊菌類のことを言います。
日本では蝉や蛾の他カメムシなどさまざまな虫の栄養を利用するものがみられます。
漢方の冬虫夏草について
中医学の文化圏では、チベットなどが原産のオオコウモリガの幼虫に寄生する天然のOphiocordyceps sinensisのみを「冬虫夏草」と呼び、狭義の冬虫夏草はこれを指して言うのです。
しかしこのオオコウモリガ自体日本には生息しておらず、従ってオオコウモリガの幼虫に寄生する天然のOphiocordyceps sinensisの「冬虫夏草」を入手するには輸入しなくてはなりません。
これとは別に広義の「冬虫夏草」は多数存在します。
さまざまな虫に寄生して生える別の種類の子囊菌類が500種類あると言われています。
漢方の冬虫夏草にも抗がん成分は含まれない
オオコウモリガの幼虫に寄生する天然の冬虫夏草にも抗癌成分が含まれていない事を中国の研究チームが確認し報告をしたことで、冬虫夏草に対する信頼が揺らぐ事態が起こっています。
中国の研究チームの発表内容
2017年中国科学院上海植物生理生態研究所の研究チームが国際的な学術雑誌「Cell」に発表した内容などによると、冬虫夏草の抗がん成分及びがん化抑制成分の、ペントスタチン、コルジセピンなどの成分が漢方として認められているオオコウモリガの幼虫に寄生する天然のOphiocordyceps sinensisつまり【狭義の冬虫夏草】でさえも全く含有されていなかったことなどを伝えています。
唯一コルジセピンが確認されたもの
カイコのサナギに寄生するサナギタケにのみ抗がん成分が含有されていた事を中国の研究チームが伝えています。
従って効果を期待し冬虫夏草を与えるのであれば、カイコ由来のサナギタケCordyceps militarisの製品を選ぶ必要があります。
カイコの幼虫に含まれる成分を利用して成長したサナギタケCordyceps militarisは抗がん成分を含んでいたと報告しています。
ヒトのがん診療を行うクリニックの医師は、がんに対する有効成分を含むカイコのサナギ由来サナギタケCordyceps militarisのサプリメントを推奨するとともに、穀物などを虫の代替として培養したものは、昆虫の成分が無いまま子実体が形成されるので、冬虫夏草としての成分を有するかは疑問であると伝えています。
冬虫夏草菌やサナギタケ菌のような虫草菌が感染することによって昆虫の防衛機転が働き、昆虫の中で敵を撃退する成分を生成、虫草菌がそれを栄養とすることによって、このキノコ特有の生理活性成分となっていることを解説してくれています。
効果を期待するのであれば、カイコに由来するサナギタケCordyceps militarisであることが絶対条件であると考えられます。
カイコ由来でない、サナギタケCordyceps militarisでない製品はしっかり吟味する必要がありそうです。
「問題の犬用冬虫夏草」もう一つの問題
今回問題となった製品には、冬虫夏草の他に有機ゲルマニウムが含まれています。
有機ゲルマニウムにはいくつかの種類があり医薬品として認められているものもあるようですが、重篤な副作用が起こることも知られていますので注意が必要です。
ウィキペディアに有機ゲルマニウムの「人体への影響について」の記載があり、危険性を伝えていますので以下に転記致します。
人体への影響
1887年にWinklerが最初に有機ゲルマニウムを合成し、1962年にKaarsらが合成したものは生理研究を本格化させていった。浅井一彦らは石炭や漢方薬にゲルマニウムが少し含まれていることから注目し、1968年にレパゲルマニウム(研究時の名称Ge-132、一般にアサイゲルマニウムとも)を合成する。レパゲルマニウムは食品として安全性が確かめられている。また臨床試験も実施されてきた。
1978年に佐藤隆一らがプロパゲルマニウムを合成し、臨床試験が実施され1994年から免疫を高める経口B型肝炎治療剤のセロシオンカプルとして販売されている。有機ゲルマニウムの中でも、唯一医薬品として認められているこのプロパゲルマニウムでは、ウイルス性のB型慢性肝炎に対する有効性が認められるものの、健康障害や死亡などの危険性についての警告文が付されており、消化器系の各種症状(腹痛、下痢、口内炎等)、うつ、月経異常、脱毛等の副作用がある。
スピロゲルマニウムは新薬にするために臨床試験が行われていたが、胃癌では毒性の高さと有効率の低さから、1999年にそれ以上の研究は断念された。
ゲルマニウムを含む健康食品を摂取して死亡した例もある。無機ゲルマニウムは生死に関わるような副作用があるが、1970年代後半からのゲルマニウムブームにて、当初から無機ゲルマニウムの飲用は腎臓等に障害を発生させるとの研究結果がすでに報告されていたにもかかわらず、一部の業者が無機ゲルマニウムを有機ゲルマニウムと偽って飲用として販売したために事故が発生し、1998年10月には厚生労働省が各都道府県に対しゲルマニウム含有食品についての注意喚起を行っている。
有機ゲルマニウムでも、経口摂取による健康障害、死亡例が報告されているため、比較的危険性のあるものである。
ある有機ゲルマニウム製剤の経口投与により癌に効果があるという研究もある。別の研究者によって危険性も示されている。
国立健康・栄養研究所は、「サプリメントとしての経口摂取はおそらく危険と思われ、末梢神経や尿路系の障害を起こし、重篤な場合には死に至ることがある」として注意を呼びかけている。また、経口摂取によりこれまでに31例の腎臓への重大な疾患や死亡が報告されている。
(以上ウィキペディアより転記)