犬の慢性膵炎の治療と再燃防止

中央動物病院

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犬の慢性膵炎の治療と再燃防止

STAFF BLOG

2021/07/05 犬の慢性膵炎の治療と再燃防止

犬で用法用量特許取得の内服薬で治療

犬に対する正式な慢性膵炎治療の為の内服薬はありません。
しかし人の膵炎治療薬剤で、犬の慢性膵炎に対して用法用量の特許(米国)を正式に取得した内服薬剤は存在します。
当院では慢性膵炎の急性増悪期に対し、この内服薬による治療を行っています。
(内服薬が与えられない重症の場合は犬の膵炎治療用注射薬を使用します)

再燃防止にDHA40%含有脂肪酸を推奨

オメガ3脂肪酸特にDHA(ドコサヘキサエン酸)は、体内で強力な消炎作用を有するレゾルビンに変換されて効果を発揮します。
EPAにも同じ事が起こるのですがその力は弱いことが知られています。
DHAとDPAを多く含むオメガ脂肪酸は、インドメタシンと同等の消炎効果がある事を証明した論文も発表されています。
再燃の可能性を出来るだけ抑える為にDHA・DPA含有オメガ脂肪酸を推奨しております。

意外に多い犬の慢性膵炎

慢性膵炎を抱える犬は意外に多く、どのような病気であるのかそして愛犬に何をしてあげれば良いのかなど釈然としない気持ちでいる飼い主様は多いのではないでしょうか。
無作為に選択された犬の剖検の組織病理学的評価で34%から64%で慢性膵炎を抱えていることが報告されていますので、我々が思う以上に慢性膵炎を抱える犬は多いのです。

慢性膵炎てなに???

急性膵炎は正常な膵臓が何らかのトラブルで炎症を起こしますが、治療によってそのトラブルが全面解決された場合、全く正常な膵臓へと戻り治癒となります。
ところが慢性膵炎は問題が解決しきらない状態が続きます。
慢性膵炎を火事に例えると、完全鎮火不可能でどこかでくすぶっている状態が延々と続いてしまう状況と言えます。
強い風が吹いたり燃えやすい物があったりするとすぐに再燃してしまうという、真冬の乾燥したそして雨の降らない山火事鎮火の様な状況といえます。

慢性膵炎急性期の診断

ここまで読んでいただいた方は慢性膵炎の症状についてはよくご存じだと思いますので省略致します。
症状から慢性膵炎の急性期を疑った場合、超音波検査と血液検査を行います。
血中のリパーゼの値を確認するのですが、より診断精度を高めるのであれば膵特異リパーゼ値(Spec cPL)を計測する必要があります。

膵特異リパーゼ値と治療

一般的な正常範囲

膵特異リパーゼの基準値は200μg/L 以下で、正常犬のほとんどはこの中に収まります。

グレーゾーン

膵炎の可能性がある数値
200μg/L 〜 400μg/L

明らかな異常値

膵炎の可能性が高い数値
400μg/L以上
慢性膵炎を抱えているが症状を示していない、そのような時にも膵特異リパーゼは正常値を超す数値を示すことが多々あります。
正常範囲を超えている場合どのように考えるか、治療をどうするか迷う事がよくあります。
以下は当院の治療および再燃防止に対する考え方の基本になります。
(実際には症状や膵特異リパーゼ以外の血液検査データも加え総合的に判断します)
膵特異リパーゼのカットオフ値は400μg/L です、400μg/L を超えると膵炎治療薬の投与を行う必要があります。
そして、200〜400μg/Lの間で症状がないのであれば、DHA・DPAの給与で再燃の可能性をできる限り減らす事を目指します。
症状があれば対症療法を主体とした治療を行ったのち再び検査を実施します。

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