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腎疾患治療におけるアルテミシニンとその誘導体
アルテミシア アンヌア(青蒿、黄花蒿)が腎疾患に効果があることは、中国での青蒿使用2000年の歴史の中ヒトで多くの実症例を積み重ねた結果として複数の漢方薬の書籍に記載されています。
⇨こちらをご覧ください
近年腎臓への効果についてを科学的に証明するための試験が複数行われ発表されています。
2023年にはそれらのレビュー論文が発表されておりますのでここで紹介を致します。
腎疾患治療におけるアルテミシニンおよびその誘導体の治療的可能性 Therapeutic potential of artemisinin and its derivatives in managing kidney diseases
要旨
アルテミシニンは、伝統的な漢方薬である抗マラリア薬で、アルテミシア アンヌアから単離され、副作用が少ないことが知られています。
アルテミシニンとその誘導体は、マラリア、がん、免疫疾患、炎症性疾患などの疾患に治療効果を示すことが複数のエビデンスで実証されています。
さらに、これらの抗マラリア薬は抗酸化作用と抗炎症作用を示し、免疫系とオートファジーを調節し、糖脂質代謝特性を調整することから、腎疾患管理の代替手段となる可能性が示唆されています。
本レビューでは、アルテミシニンの薬理活性を評価しました。
この論文では、炎症、酸化ストレス、オートファジー、ミトコンドリア恒常性、小胞体ストレス、糖脂質代謝、インスリン抵抗性、糖尿病性腎症、ループス腎炎、膜性腎症、IgA腎症、急性腎障害などの腎臓疾患の治療におけるアルテミシニンの重要な成果と推定されるメカニズムをまとめ、アルテミシニンとその誘導体が腎臓疾患、特にポドサイト関連腎疾患の管理に治療効果がある可能性を示唆しています。
本レビュー論文の内容まとめ
アルテミシニン類が腎疾患にどう作用するか、どの疾患でどんな効果が報告されているか、そのメカニズムを中心に整理し簡単に説明します。
1. アルテミシニン類とは何か
アルテミシニン(Artemisinin)は中国の伝統医学で用いられてきたアルテミシア アンヌア(Artemisia annua)に含まれる成分。
その誘導体(例えば、ジヒドロアルテミシニン、アルテスネート、アルテメテルなど)は、元のアルテミシニンよりも安定性・効果が改良されているものもある。
2.報告されている腎疾患に対する効果
アルテミシニン類は様々な腎疾患モデルで有益な効果が報告されており、具体的には次のようなものがあります。
疾患・状態と主な改善内容・効果
◯糖尿病性腎症(Diabetic Nephropathy, DN)
血中尿素窒素・クレアチニンなど腎機能指標の改善、蛋白尿減少、腎臓の線維化の抑制。
◯急性腎障害(Acute Kidney Injury, AKI)
酸化ストレスの低減、炎症の抑制、腎細胞の障害の緩和。
◯IgA腎症、膜性腎症、ループス腎炎などの免疫・炎症性腎疾患
免疫反応の制御(炎症性サイトカインや免疫複合体の沈着抑制)、蛋白尿など症状の改善。
◯ポドサイト(腎臓の濾過バリアを構成する細胞)の損傷
ポドサイトの構造や機能の維持、移動や剥離(ポドサイトが傷んで剥がれる)を抑制。
3. 主な作用機序(なぜ効果があるか)
アルテミシニン類がこれら腎疾患で効く理由として、いくつかの生体内プロセスを調整することが挙げられています。
以下が代表的なものです。
調整対象 具体的なメカニズム
◯炎症反応の抑制
TLR4/NF‑κB 経路や NLRP3 インフラマソームなど、炎症を促すシグナル経路を抑制。
サイトカイン(TNF‑α, IL‑6, IL‑1β など)や炎症分子の産生を減らす。
◯酸化ストレスの抑制
ROS(活性酸素種)の生成を減らし、抗酸化酵素(SOD, CAT, HO‑1 など)の活性を高める。
Nrf2 経路の活性化。
◯オートファジー(自食作用)の調整
細胞が自身の不要な成分を分解する機構の促進。
mTOR/PI3K/AKT 経路を抑制して Autophagy を活性化。
◯ミトコンドリア機能の維持
ミトコンドリアの損傷を防ぎ、エネルギー代謝を改善。ミトコンドリアの分裂・融合バランスを保つなど。
内質網ストレス(ERストレス)の軽減 ER内のタンパク質の折りたたみ異常などによるストレスを緩和し、細胞への負荷を減らす。
糖脂質代謝・インスリン抵抗性の改善 糖の取り込み、脂質の代謝を整え、インスリンの効きが悪くなる状態(インスリン抵抗性)を改善。
25/10/31
25/10/27
25/10/25
25/10/08
25/09/22
25/09/12
25/09/11
25/08/29
25/08/28
25/08/15
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アルテミシア アンヌア(青蒿、黄花蒿)が腎疾患に効果があることは、中国での青蒿使用2000年の歴史の中ヒトで多くの実症例を積み重ねた結果として複数の漢方薬の書籍に記載されています。
⇨こちらをご覧ください
近年腎臓への効果についてを科学的に証明するための試験が複数行われ発表されています。
2023年にはそれらのレビュー論文が発表されておりますのでここで紹介を致します。
腎疾患治療におけるアルテミシニンおよびその誘導体の治療的可能性
Therapeutic potential of artemisinin and its derivatives in managing kidney diseases
要旨
アルテミシニンは、伝統的な漢方薬である抗マラリア薬で、アルテミシア アンヌアから単離され、副作用が少ないことが知られています。
アルテミシニンとその誘導体は、マラリア、がん、免疫疾患、炎症性疾患などの疾患に治療効果を示すことが複数のエビデンスで実証されています。
さらに、これらの抗マラリア薬は抗酸化作用と抗炎症作用を示し、免疫系とオートファジーを調節し、糖脂質代謝特性を調整することから、腎疾患管理の代替手段となる可能性が示唆されています。
本レビューでは、アルテミシニンの薬理活性を評価しました。
この論文では、炎症、酸化ストレス、オートファジー、ミトコンドリア恒常性、小胞体ストレス、糖脂質代謝、インスリン抵抗性、糖尿病性腎症、ループス腎炎、膜性腎症、IgA腎症、急性腎障害などの腎臓疾患の治療におけるアルテミシニンの重要な成果と推定されるメカニズムをまとめ、アルテミシニンとその誘導体が腎臓疾患、特にポドサイト関連腎疾患の管理に治療効果がある可能性を示唆しています。
本レビュー論文の内容まとめ
アルテミシニン類が腎疾患にどう作用するか、どの疾患でどんな効果が報告されているか、そのメカニズムを中心に整理し簡単に説明します。
1. アルテミシニン類とは何か
アルテミシニン(Artemisinin)は中国の伝統医学で用いられてきたアルテミシア アンヌア(Artemisia annua)に含まれる成分。
その誘導体(例えば、ジヒドロアルテミシニン、アルテスネート、アルテメテルなど)は、元のアルテミシニンよりも安定性・効果が改良されているものもある。
2.報告されている腎疾患に対する効果
アルテミシニン類は様々な腎疾患モデルで有益な効果が報告されており、具体的には次のようなものがあります。
疾患・状態と主な改善内容・効果
◯糖尿病性腎症(Diabetic Nephropathy, DN)
血中尿素窒素・クレアチニンなど腎機能指標の改善、蛋白尿減少、腎臓の線維化の抑制。
◯急性腎障害(Acute Kidney Injury, AKI)
酸化ストレスの低減、炎症の抑制、腎細胞の障害の緩和。
◯IgA腎症、膜性腎症、ループス腎炎などの免疫・炎症性腎疾患
免疫反応の制御(炎症性サイトカインや免疫複合体の沈着抑制)、蛋白尿など症状の改善。
◯ポドサイト(腎臓の濾過バリアを構成する細胞)の損傷
ポドサイトの構造や機能の維持、移動や剥離(ポドサイトが傷んで剥がれる)を抑制。
3. 主な作用機序(なぜ効果があるか)
アルテミシニン類がこれら腎疾患で効く理由として、いくつかの生体内プロセスを調整することが挙げられています。
以下が代表的なものです。
調整対象 具体的なメカニズム
◯炎症反応の抑制
TLR4/NF‑κB 経路や NLRP3 インフラマソームなど、炎症を促すシグナル経路を抑制。
サイトカイン(TNF‑α, IL‑6, IL‑1β など)や炎症分子の産生を減らす。
◯酸化ストレスの抑制
ROS(活性酸素種)の生成を減らし、抗酸化酵素(SOD, CAT, HO‑1 など)の活性を高める。
Nrf2 経路の活性化。
◯オートファジー(自食作用)の調整
細胞が自身の不要な成分を分解する機構の促進。
mTOR/PI3K/AKT 経路を抑制して Autophagy を活性化。
◯ミトコンドリア機能の維持
ミトコンドリアの損傷を防ぎ、エネルギー代謝を改善。ミトコンドリアの分裂・融合バランスを保つなど。
内質網ストレス(ERストレス)の軽減 ER内のタンパク質の折りたたみ異常などによるストレスを緩和し、細胞への負荷を減らす。
糖脂質代謝・インスリン抵抗性の改善 糖の取り込み、脂質の代謝を整え、インスリンの効きが悪くなる状態(インスリン抵抗性)を改善。