グレインフリーのフードと心臓病

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グレインフリーのフードと心臓病

STAFF BLOG

2019/09/04 グレインフリーのフードと心臓病

グレインフリーと心臓病について

 20196月に米食品医薬品局(FDA) から「グレインフリー」に関する報告が出たので紹介したいと思います。

 最近話題になっている「グレインフリー」というフードについて、皆さんはご存知でしょうか。グレインフリーとは「穀物不使用」という意味であります。犬は基本的に肉食であるため体質的に消化が難しいとされる「穀物」を使用しないフードは犬にとって良いものであるとされています。

 しかし、2019627日、米食品医薬品局(FDA) は、マメ科植物の含有量が多いグレインフリーの食餌と、イヌ科およびネコ科動物の致死性心疾患である拡張型心筋症(DCM)が関連している可能性があるとの調査結果を発表しました。

 これによると、201411日から2019430日の間に、FDAが公表した524症例の犬および猫の拡張型心筋症(DCM)(犬:515例、猫:9例)のうち、興味深いことに、517症例が2018年から急激に生じていることが分かります(グラフ)。しかもこれら罹患症例のうち遺伝的に素因のない小型犬や中型犬においてもDCM症例が増加していました。

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 さらにこの報告によると「調査をしたDCM罹患症例の90%以上で、グレインフリーの餌が与えられていた。また、その93%の餌に主成分としてエンドウマメやレンズマメが含まれていた。」と報告しています。さらに「ビーガン (完全菜食主義) のフードやローフード、自宅で手作りのフードを食べている犬においてもDCMにかかりやすい。」とも述べています。

 つまり、2018年から急激にDCMが増加した理由として、かさ増しの為のジャガイモや豆類が多く含まれているグレインフリーが、犬および猫において拡張型心筋症を起こすのではないかと警鐘を鳴らしています。しかし、グレインフリーの食餌の何がDCMと関連しているかについては、まだ完全には明らかになっていません。

 日本での報告はまだありませんが、グレインフリーを食しているペットは、心臓疾患の発症に注意する必要があるかもしれません。獣医師が拡張型心筋症を発症した犬や猫の飼育者に対し、グレインフリーフードを与えていたかどうかを確認する事が必要です。

出典元サイトhttps://www.fda.gov/animal-veterinary/news-events/fda-investigation-potential-link-between-certain-diets-and-canine-dilated-cardiomyopathy

山田修作

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