アルテミシニンはなぜ癌細胞を破壊し正常細胞を破壊しないのか

中央動物病院

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アルテミシニンはなぜ癌細胞を破壊し正常細胞を破壊しないのか

STAFF BLOG

2019/06/24 アルテミシニンはなぜ癌細胞を破壊し正常細胞を破壊しないのか

アルテミシニンがマラリア原虫感染症の安定した治療薬として効果を示すのは、マラリア原虫が多くの鉄を含有しているからです。

 

マラリア原虫が赤血球に寄生をし、増殖する際に大量の鉄を必要としますが、その鉄は赤血球に豊富に含まれています。

豊富にある鉄をマラリア原虫は体内にたっぷりと取り込み、子孫を増やすのです。

そのマラリア原虫の体内に取り込まれたアルテミシニンは、マラリア原虫の体内に豊富に含まれている鉄と反応し、鉄にフリーラジカルを産生させマラリア原虫を死滅させます。

 

この反応と同様のことが癌細胞でも起こるのです。

鉄はヒト・犬・猫など全ての動物の細胞に必須の微量元素です。

しかし過剰な鉄はフリーラジカルの産生源となり細胞に毒性を示す事になりますので、細胞内の鉄の量を厳密に制限し過剰に持たず、勝手に鉄が酸化してフリーラジカルを産生しないようにうまく調整されています。

癌細胞の場合は、激しく増殖するために必要な鉄を多量にため込んでいます。

その鉄が勝手に酸化しフリーラジカルを産生しないような工夫もなされているのです。

鉄を豊富に含む癌細胞に取り込まれたアルテミシニンは癌細胞内の鉄に反応しフリーラジカルを産生させ癌細胞を死滅させます。

 

ヒトの乳腺正常細胞と比較し、癌化した乳腺細胞の鉄含有量は5~15倍にも及ぶことが知られています。

この差がアルテミシニンの働きの差になり、正常細胞を破壊することなく癌化した細胞のみを破壊するのです。

そしてその他の癌・悪性腫瘍の細胞も鉄の細胞内含有量は、正常細胞よりも多く含んでいるものが多く、そのためアルテミシニンはさまざまな癌・悪性腫瘍に効果を示すのです。

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