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侮れない犬の熱中症について
熱中症とは犬が高温な環境に晒されるなどした際に体温が適切に調節できずに41℃を超えてしまい、その事で生体の組織や臓器がダメージを受けるために生じる全身性の疾患です。
体温の上昇はパンティング、流涎、血管拡張などによる生理学的な冷却機序と直射日光を避けるために日陰に入るなどの行動による冷却機序により抑えられていますが、この生理学的な冷却機序では体温上昇が抑制できないほど環境温度が上昇し、行動による冷却機序が阻害されると熱中症が発生します。
熱中症の危険因子としては①高温多湿環境への長時間暴露、②短頭種・肥満などの身体構造的なことや循環器疾患、気管虚脱や口頭麻痺などの呼吸器疾患に起因する熱放散能の低下、③激しい運動、④老齢などが挙げれます。
症状としては頻呼吸・頻脈・粘膜の充血・脱水・嘔吐・下痢などでより悪化すると呼吸困難・発作・運動失調・意識消失・吐血・出血性下痢・乏尿などを呈します。
診断は通常、熱中症が強く疑われる明確な背景が確認できることが多くまた臨床症状と体温測定で40℃以上であることから診断できます。ただし明確な背景が確認できない場合には重篤な感染症や呼吸器疾患、脳疾患などの可能性も否定できないため種々の検査が必要となります。また熱中症と診断した場合でも臓器障害の程度と予後を把握するために血液検査を含めた様々な検査が必要となります。
治療はとにかくできる限り早く身体を冷やして体温を下げることになります。水道水を張った浴槽などに動物の身体を浸します。
ここで注意しなければいけないのが体温を下げすぎないことです。熱中症により各臓器の損傷・機能低下が生じているため逆に低体温になるとそこからの回復が困難になるためです。そのためまずは体温を39.4℃にすることを目標にします。
もう一つ注意しないといけないことは、動物を冷却する際に冷水や氷水を使用しないことです。というのも冷たすぎると体表の血管が収縮してしまい体表面の温度のみ下がり深部体温が下がらなくなり逆効果となるためです。
また動物の意識がしっかりしているなら水を十分に水を飲ませます。飲めない場合にはわずかに冷やした輸液剤の静脈点滴を行います。
その後は体温をモニターしながら熱中症により障害を受けた臓器のケアを行いながら機能回復を待ちます。
熱中症においては体温上昇の程度が大きいほど、また上昇していた時間が長いほど臓器障害の程度も大きくなりそれに伴い致死率も上がります。
ある研究によると治療を行っても重症患者の致死率は50%を超えるとの報告もあります。
なかなか侮れないですね。なので熱中症になるよくあるケースをいくつか紹介しますので水分補給するなどして十分に気を付けて下さい。
① 夏の買い物時などで車内で犬を待機させる時
② 夏の閉め切った部屋での留守番(停電などでクーラーが停止してしまう場合など)
③ 夏の散歩(日照時でなくとも道路はかなり熱くなっている)
④ 夏休みなどにキャンプなどのレジャーに犬を同伴させる時(犬もはしゃぎ過ぎる)
23/10/26
23/10/13
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熱中症とは犬が高温な環境に晒されるなどした際に体温が適切に調節できずに41℃を超えてしまい、その事で生体の組織や臓器がダメージを受けるために生じる全身性の疾患です。
体温の上昇はパンティング、流涎、血管拡張などによる生理学的な冷却機序と直射日光を避けるために日陰に入るなどの行動による冷却機序により抑えられていますが、この生理学的な冷却機序では体温上昇が抑制できないほど環境温度が上昇し、行動による冷却機序が阻害されると熱中症が発生します。
熱中症の危険因子としては①高温多湿環境への長時間暴露、②短頭種・肥満などの身体構造的なことや循環器疾患、気管虚脱や口頭麻痺などの呼吸器疾患に起因する熱放散能の低下、③激しい運動、④老齢などが挙げれます。
症状としては頻呼吸・頻脈・粘膜の充血・脱水・嘔吐・下痢などでより悪化すると呼吸困難・発作・運動失調・意識消失・吐血・出血性下痢・乏尿などを呈します。
診断は通常、熱中症が強く疑われる明確な背景が確認できることが多くまた臨床症状と体温測定で40℃以上であることから診断できます。ただし明確な背景が確認できない場合には重篤な感染症や呼吸器疾患、脳疾患などの可能性も否定できないため種々の検査が必要となります。また熱中症と診断した場合でも臓器障害の程度と予後を把握するために血液検査を含めた様々な検査が必要となります。
治療はとにかくできる限り早く身体を冷やして体温を下げることになります。水道水を張った浴槽などに動物の身体を浸します。
ここで注意しなければいけないのが体温を下げすぎないことです。熱中症により各臓器の損傷・機能低下が生じているため逆に低体温になるとそこからの回復が困難になるためです。そのためまずは体温を39.4℃にすることを目標にします。
もう一つ注意しないといけないことは、動物を冷却する際に冷水や氷水を使用しないことです。というのも冷たすぎると体表の血管が収縮してしまい体表面の温度のみ下がり深部体温が下がらなくなり逆効果となるためです。
また動物の意識がしっかりしているなら水を十分に水を飲ませます。飲めない場合にはわずかに冷やした輸液剤の静脈点滴を行います。
その後は体温をモニターしながら熱中症により障害を受けた臓器のケアを行いながら機能回復を待ちます。
熱中症においては体温上昇の程度が大きいほど、また上昇していた時間が長いほど臓器障害の程度も大きくなりそれに伴い致死率も上がります。
ある研究によると治療を行っても重症患者の致死率は50%を超えるとの報告もあります。
なかなか侮れないですね。なので熱中症になるよくあるケースをいくつか紹介しますので水分補給するなどして十分に気を付けて下さい。
① 夏の買い物時などで車内で犬を待機させる時
② 夏の閉め切った部屋での留守番(停電などでクーラーが停止してしまう場合など)
③ 夏の散歩(日照時でなくとも道路はかなり熱くなっている)
④ 夏休みなどにキャンプなどのレジャーに犬を同伴させる時(犬もはしゃぎ過ぎる)