犬の子宮蓄膿症とその治療(新たな内科療法に注目です)

中央動物病院

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犬の子宮蓄膿症とその治療(新たな内科療法に注目です)

STAFF BLOG

2018/01/19 犬の子宮蓄膿症とその治療(新たな内科療法に注目です)

子宮蓄膿症とは避妊手術を受けていない雌犬において、子宮内で細菌感染が起こることにより膿がたまってしまう病気です。膿が陰部から出てくる開放型と出てこない閉塞型があります。この病気の背景には女性ホルモンの1つである黄体ホルモンが深く係わっています。そのため発情後の黄体期と呼ばれる約2ヵ月続く時期に発症しやすいとされています。

 
治療法は原則、外科手術により膿のたまった子宮と卵巣を摘出することで行います。麻酔および手術のリスクはもちろんありますがそれをクリアして手術後の不安定な時期を乗り切ればほば100%治癒します。また再発する事もありません。

 
ところで治療は原則、外科手術としましたが次のようなケースには内科療法を検討します。
①将来、出産させ子孫を残したい。②持病や高齢などで麻酔および手術のリスクが高い。
では具体的に内科療法について簡単に説明させてもらいます。現在2つの治療法があります。

 

1つは従来から行われてきたプロスタグランジンによる治療です。プロスタグランジンは子宮を収縮させるため膿の排出を促します。また黄体退行作用もあります。そのため治療薬として使われるのですが同時にかなり高い確率で嘔吐・流涎・下痢・呼吸促迫・心悸亢進などの副作用が出ます。また閉塞タイプの子宮蓄膿症には使えません。

 

もう1つは最近注目されているアグレプリストンによる治療法です。アグレプリストンは黄体ホルモン拮抗作用を示しそれにより黄体ホルモン支配下の子宮頸管を弛緩させて膿の排泄を促し、また黄体ホルモン支配下の子宮内膜を整え細菌の増殖を抑制します。そして比較的副作用が出にくいとされ、かつ閉塞タイプの子宮蓄膿症にも使えます。加えてかなり高い改善率が期待できます。というわけで新しい薬ではありますが期待が寄せられています。

 

最後に確認なのですが内科療法を選択した場合には再発の可能性があること、また改善しない場合には外科療法を選択しなければなりません。

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